
【神戸市灘区】
内科・緩和ケア内科・泌尿器科
かえでホームケアクリニック 院長:熊野晶文 先生
阪急電鉄神戸本線「六甲駅」から徒歩4分の場所にある、「かえでホームケアクリニック」。緩和医療指導医、泌尿器科専門医の資格を持つ熊野晶文先生が、前身となる「関本クリニック」を2023年に継承し、在宅療養支援診療所として緩和ケアを提供するクリニックだ。
「六甲病院 緩和ケア内科」の立ち上げに尽力された関本雅子先生が、在宅緩和の先駆け的存在として2001年に開業した「関本クリニック」は、2018年以降、ご長男の関本 剛先生が院長を務めてきたが、肺がんを患い、闘病の末に逝去された。その後、「六甲病院 緩和ケア内科」で、関本 剛先生とともに緩和ケアに従事した、熊野晶文先生に、クリニック継承のオファーがあり、2023年に「かえでホームケアクリニック」として熊野先生が継承開院したというのが概略である。
医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では今回、泌尿器科医から緩和ケア医へとキャリアシフトし、がん終末期患者への緩和ケアや、慢性疾患等で通院が困難な患者への訪問診療に尽力する、院長の熊野先生を取材。歴史あるクリニックを継承開院するに至った背景や、当時の心境、そして、自身のクリニックとして「かえでホームケアクリニック」をどう舵取りしていくかなど、幅広くお話を伺ってきた。
目次
泌尿器科は、スペシャリティの高い診療科
泌尿器科での経験や知識が現在まで糧となっています
ーー熊野先生が医師を目指したきっかけからお聞かせください。

熊野先生:大きな志があったというわけではないのですが、人の役に立つ仕事に就きたいという思いから医師を目指したというのがきっかけです。泌尿器科の道を選んだのは、内科的なことから外科的なことまで、診療の幅が広いという点に魅力を感じたからです。自分で診断を付け、時には手術を執刀し、時にはがんに対する化学療法なども取り扱いながら、腎臓移植にも関われるという、スペシャリティの高い診療科が泌尿器科であると感じました。実際の現場では、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、腎盂がんなどに対する手術がメインではありましたが、その他にも、小児泌尿器科の先天的な疾患や、男性不妊、男性更年期障害など、老若男女を対象に、多岐に渡る疾患を診てきました。
ーー泌尿器科に進んで良かった点はどういったところですか。
熊野先生:内視鏡手術やロボット手術など、最先端の技術を用いた治療を実践でき、がん化学療法に至るまで幅広いスキルが身に付きました。また、神戸大学大学院では、腫瘍グループでの研究に携わることができましたし、泌尿器科に進んだことで医師としての成長機会に多く恵まれましたから、そこはすごく良かったなと思っています。一般的には、泌尿器と言えば「性器」というイメージが強いと思いますが、膀胱や腎臓といった臓器にも深く関わる診療科ですし、性別や年代を問わず、様々な患者さんに関わることができましたので、泌尿器科での経験や知識が現在まで糧となっています。
緩和ケアの道は、泌尿器科医として得た経験を生かしながら進める次のステップ
患者さんの年齢やがんの種類で進行スピードは様々、患者さんへの寄り添い方も十人十色
ーー熊野先生が泌尿器科から緩和ケアへとシフトされたのは、どうしてだったのですか。

熊野先生:基本的に大学病院は治療をする病院ですので、例えば進行がんで、あらゆる薬が効かなくなり、治療をやり尽くすと、緩和ケア病棟や他の病院に移ることになります。つまり、大学病院で患者さんを最初から最期まで診るということは、現実的にはほとんどない中で、担当した患者さんのその後を知る由がないというところに、歯痒さを感じていました。そんな中、終末期を迎えたがん患者さんに対する、痛みのコントロールを始めとした「緩和ケア」という分野に非常に興味を持ち、泌尿器科医として得た経験を生かしながら進める次のステップとして、緩和ケアの道に飛び込みました。
ーー泌尿器科でのどういった経験が、特に生かされていますか。
熊野先生:やはり大学院時代に腫瘍グループでの研究に携わっていましたので、緩和ケアに移行する前段階として、がん患者さんがどういう経過を辿ってきたのかをイメージしやすかったというのは、大きいかもしれないですね。また終末期では排尿トラブルも多くなってきますし、寝たきり状態になると尿道カテーテルが留置されている患者さんも多くなるので、そういった面での処置をスムーズに行えるという点は、泌尿器科との親和性が高い部分かなと思います。逆に難しさを感じる点は、泌尿器だけでなく、消化器や呼吸器など、その他の部位のがん患者さんも対象となり、患者さんの年齢やがんの種類で進行スピードは様々ですから、患者さんへの症状調整や寄り添い方も十人十色であるということですね。それぞれにマニュアルがあるわけではないですからね。
偉大な2人の先生の後を継ぐというのは大きなプレッシャー
クリニックの歴史を引き継ぎ、自身のクリニックとして緩和ケアをやっていくという道が定まった
ーー関本クリニックとの出会いについて、お話を聞かせていただけますか。

熊野先生:六甲病院の緩和ケア内科で、同じ高校の後輩でもある関本 剛先生との出会いがあり、そこで関本クリニックの存在を知りました。かえでホームケアクリニックの前身である、関本クリニックは、当クリニックでも顧問として残っていただいている関本雅子先生が立ち上げたクリニックです。六甲病院の緩和ケア内科も、雅子先生が立ち上げから尽力されていたのですが、その後に、在宅緩和の先駆け的存在として、2001年に関本クリニックが誕生しました。雅子先生のご子息である剛先生との、六甲病院での勤務の後、私は、岩本診療所 こうべ往診クリニックへ移り、そこで一般在宅や、がん終末期緩和ケア、そしてがん以外の慢性疾患で通院が困難な患者さんへの対応などについて学びました。一方で剛先生は関本クリニックの院長に就任し、在宅緩和ケアとクリニック経営に注力されていたというのが、大まかな流れです。
ーーそしてその後、関本クリニック継承のオファーを受けられることになります。
熊野先生:私にオファーがきたときはもう、剛先生が余命宣告され、かなり容体が悪くなっていたのですが、非常勤医師として、関本クリニックのお手伝いもさせていただいていましたので、そういった交流もあり、雅子先生からお声がけをいただきました。
ーーただ、そういったご状況的に、2つ返事でお受けできるようなお話ではなかったのではないですか。
熊野先生:最初はびっくりしましたし、相当悩みました。そのときの心境は、言葉ではなかなか表現することが難しいですよね。ただ、緩和ケアを自身のフィールドとしていく中で、その先駆的クリニックで挑戦してみたいという思いと、自分のクリニックをやりたいという思いもありましたので、偉大な2人の先生の後を継ぐというのは大きなプレッシャーでしたが、継承開院することを決意しました。クリニックの歴史を引き継ぎ、そして自身のクリニックとして緩和ケアをやっていくという道が定まる、まさに転機と言える出来事でした。
患者さんに不利益のない医療を提供する
これまでの大切な歴史と、そこから変化していく未来の象徴
ーー継承開院することで、変わらず引き継ぐ部分と、変えていく部分とがあると思いますが、その辺りはいかがですか。

熊野先生:まず変わらない部分は、「患者さんに不利益のない医療を提供する」という、関本クリニック時代からの診療理念です。剛先生も雅子先生も、常に患者さん本位で、地域に根差した医療を提供し、患者さんから愛されていましたので、かえでホームケアクリニックになっても、そういう存在であり続けたいという思いです。変えていく部分としては、システム面がかなりオールドタイプでしたので、そこの改革は大変ではありましたが、時代のニーズに合わせて変えていかないといけないところは、今もスタッフとミーティングを重ねて変化を付けていっています。
ーークリニック名に「かえで」を入れたのはどうしてだったのですか。
熊野先生:楓の花言葉は、「大切な思い出」「調和」「美しい変化」だそうで、これまでの大切な歴史と、そこから変化していくクリニックの未来を象徴しているようで、「かえで」を採用しました。
訪問診療というのは、患者さんのホームグラウンドに行くので、こちらは常にアウェイ
自分の中の固定観念で患者さんと話をするのではなく、まずはしっかりと相手の話を聞く
ーー訪問診療を利用されている患者さんは、どういったご状況の方が多いでしょうか。
熊野先生:利用者の半分は、大きな病院で治療を尽くしたがん患者さんです。残りの半数が、それ以外の慢性疾患や神経難病で通院が困難な方ですね。
ーー訪問診療を必要とされる患者さんやそのご家族と接するときに、熊野先生が大切にされていることや気をつけていることはありますか。
熊野先生:訪問診療というのは、患者さんのホームグラウンドに行くので、こちらは常にアウェイですから(笑)、その意識をいつも忘れず、自分の中の固定観念で患者さんと話をするのではなく、まずはしっかりと相手の話を聞く、そして話してもらいやすいように工夫をする、ということを大切にしています。特に終末期の緩和ケアでは、病院側から治療は終了しましたと言われても、ご本人がそうは思っていないということがよくあります。自身の病気のことを正しく認識していなかったり、否定されている場合もあります。ですからまず、ご本人やご家族の思いを話してもらい、関係を構築していくということを心がけています。
残りの人生をどう過ごすか、患者さんのQOLを維持していくことが私たちの務め
患者さんの考えを尊重し、患者さんが決めたことに対してしっかりと寄り添う
ーー訪問診療を軸に、クリニックでは外来診療枠も設置されています。

熊野先生:一般内科や泌尿器科を掲げてはいますので、もちろんそういった疾患にも対応しますが、緩和ケア内科では、がん治療を尽くしたとはいえ、その時点で通院ができない状態にある患者さんばかりではなく、まだ体を動かせて比較的元気な状態の方もいらっしゃいます。リハビリがてら外来に通院したいという方も多いですから、そういった方に利用いただけるように外来枠を設けています。
ーー熊野先生が患者さんとどう向き合われるかで、患者さんの残りの生活の質も大きく左右されそうですね。
熊野先生:そうですね、それに、患者さんは常に悩みながら、どうしたらいいだろうかっていう相談ごとを抱えていらっしゃいますから、そういうことをお話できるスペースというのは必要ですしね。ただ、全ての患者さんが後ろ向きというわけではなく、現実を受容しながら、残りの人生をどう過ごしていくかを前向きに考えられる患者さんも多いですので、そういった方のQOLを維持していくことが私たちの務めだと考えます。最後の最後まで治療することを選ぶこと、積極的な治療を終了して残りの人生をどう過ごすかを考えること、どちらが正解とか不正解というのはないですし、ご自身の生き方を決めるのは患者さんですので、患者さんそれぞれの考えを尊重し、決めたことに対して私たちがしっかりと寄り添うということが、私たちのやるべきことかなと思います。
かえでホームケアクリニック
プロフィール
熊野 晶文(くまのまさふみ)略歴・学歴
| 1994年 | 六甲高等学校 卒業 |
|---|---|
| 2002年 | 和歌山県立医科大学医学部医学科 卒業 |
| 2008年 | 神戸大学大学院医学系研究科 博士課程修了 学位取得 |
職歴
| 2002年 | 神戸大学医学部附属病院 泌尿器科 研修医 |
|---|---|
| 2008年 | 原泌尿器科病院 医員 |
| 2009年 | Vancouver Prostate Centre, Postdoctoral Researcher |
| 2012年 | 神戸大学医学部附属病院 泌尿器科 特命助教 |
| 2013年 | 西脇市立西脇病院 泌尿器科 医長 |
| 2014年 | 六甲病院 緩和ケア内科 医長 |
| 2016年 | 岩本診療所 こうべ往診クリニック 副院長 |
| 2023年 | かえでホームケアクリニック 院長 |
資格
医学博士日本泌尿器科学会 専門医
日本緩和医療学会 指導医
所属学会
医学博士日本泌尿器科学会
日本緩和医療学会医
私のハマりもの


クリニック情報

| 名称 | かえでホームケアクリニック |
|---|---|
| 診療科目 | 内科・緩和ケア内科・泌尿器科 |
| 所在地 | 〒657-0051 神戸市灘区八幡町3丁目4-5 |
| 電話番号 | 078-846-0933 |
| 診療時間 |
<訪問診療・往診> 月曜・木曜 9:00~12:00 月曜~金曜 14:00~17:30 <面談> 火曜・水曜・金曜 9:00~10:00 <外来> 火曜・水曜・金曜 10:00~12:00 |
| 休診日 | 土曜・日曜・祝日 |
| URL | ・オフィシャルサイト https://www.kaede-hcc.com/ ・インスタグラム https://www.instagram.com/kaedehomecareclinic/ |











