
【大阪府茨木市】内科・訪問診療・整形外科・リハビリテーション科
サンライズ幸 内科・訪問診療クリニック
阪急京都線「茨木市駅」から徒歩3分、「国里整形外科の跡地」と聞けば、地域の方はすぐにピンとくるのではないだろうか。茨木市で90年もの間、地域医療を提供し続けた「国里整形外科」の閉院を受け、同じ場所で2025年4月に開業した「サンライズ幸 内科・訪問診療クリニック」。プライマリケアを掲げ、突発的な発熱から、ケガの応急処置まで幅広く対応する「総合医療」を提供する同クリニックではあるが、整形外科、リハビリテーション科も標榜していることから、長年、国里整形外科に通院されていた患者にとっても安心できる存在だと言える。内科医である院長の中尾幸嗣先生は、作業療法士の有資格者でもあることから、リハビリテーションには並々ならぬ思い入れがある、という点も、患者にとってうれしいトピックとなりそうだ。
医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では、「一度決めたことは必ずやり切る」という、そのマインドと行動力が頼もしい、院長の中尾幸嗣先生を取材。作業療法士から医師に転向した経緯や、この地での開業を決意した背景、また、福祉と医療の連携を強化していくという今後の展開などについても話を伺ったが、何よりも印象的だったのは、「自分の患者を最期まで診る」という真っ直ぐな信念に満ちた、心強い言葉だった。
そういうときの腹のくくり方は、割と強めだと思います
ーーこの場所でのご開業は、かなり急ピッチでお話が進んだそうですね。

中尾先生:はい、昨年12月に国里整形外科が閉院されて、今まで通っていらっしゃった患者さんのお薬が切れてしまうということもあり、患者さんのためにも超特急で開院準備を進めて、最短のスケジュールでオープンさせました。
ーー国里整形外科は90年の歴史があるクリニックだったと伺っていますが、その場所を選ばれたのはどういった経緯からですか。
中尾先生:私は生まれも育ちも茨木市で、開業するなら地元に根ざしていきたいという気持ちをずっと持っていました。お亡くなりになられた國里洋子先生と、私の父が、ロータリークラブに所属していたこともあり、共通の知り合いから「国里メディカルビルのオーナーが、閉院後どうしていくかで困っている」という相談を父が受け、そこで私に声がかかったという経緯です。私も子どもの頃から知っているクリニックでしたし、その場所で開業できるなら、こんなに光栄なことはないと思い、この場所での開業を決意しました。
ーー中尾先生の中で、いずれは独立開業するというご意思は、以前からありましたか。
中尾先生:そうですね、私は再受験で医師になっているということもあり、同世代の医師とは9年ぐらいの差がありますから、できるだけ駆け足で自立したいとは考えていました。
ーー2008年に作業療法士の資格を取得されていますが、その時点ではまだ、医師になろうというお考えはなかったのでしょうか。

中尾先生:そうですね、生物の勉強が好きだったということもあり、小さい頃から医者になりたいという思いはありましたが、高校時代は少しやんちゃな面もあり、学校生活をエンジョイすることを優先していました(笑)。それでも、医療関係の仕事にはとても興味があったので、作業療法士の資格を取って、リハビリの道に進み、仕事にはとてもやりがいを感じていましたが、やはり医学に対する理解度、習熟度という点が、どうしても医師とはかけ離れていることに歯がゆさを感じてもいました。また、リハビリテーション病院では、現場の主役は作業療法士、理学療法士、言語聴覚士というセラピストの方々だと私は考えますが、そういったスタッフには当然、医学的な側面での発言権はなく、その点にもどかしさを感じる場面も少なくありませんでした。それに、回復期のリハビリテーション病院では、患者さんが退院したら、そこでお付き合いが終わりなんですよね。そこから患者さんがどういう人生を送られるのかまでは見えない。最後の最期までその患者さんのことを診るには、やはり医師になるしかないと思い、医学部受験にチャレンジしました。
ーー人生を決定付けるような機会って、そう多くはないと思うのですが、中尾先生はそういった場面での決断力が強いタイプなんですね。
中尾先生:強いと思います。そういうときの腹のくくり方は、割と強めだと思います。そこできっぱり仕事を辞めて、猛烈に勉強して、関西医科大学に進みました。受験勉強中は、ストレスで十二指腸潰瘍で入院した時期もありましたが、それぐらい自分を追い詰めながら、勉強に取り組んでいましたね。
患者さんに対して、どうすればいいかをきちんと説明していきたい
ーーいざご開業されるとなり、自身のクリニックをどういう存在にしていきたいと考えられましたか。

中尾先生:本当に気軽に何でも相談できる、そして、体の不調で困っている患者さんに対して、どうすればいいかをきちんと説明してあげられる、相談窓口として利用していただけるクリニックにしていきたいと考えました。私が解決できる内容であれば、私が治療しますし、他の専門医が必要な場合には、どこでどの先生の診療を受ければいいか、道筋を付けられるクリニック運営をしていきたいなというふうに思っています。
ーープライマリケアに注力されるのは、そういったコンセプトからなのですね。
中尾先生:例えば、ちょっとした切り傷や打撲で、「こんなことで病院に罹っていいのかな?」という内容でも診ますし、内科的疾患も、もちろん診ます。もし病気が悪くなってしまった時はどうしたらいいか、その道筋を立てることも私の仕事だと考えていますので、本当に何でも相談できる窓口としての役割を担っていきたいですね。
ーー中尾先生は救急科での勤務経験もおありですし、緊急時にも心強い存在です。
中尾先生:医者たるもの救急対応はきちんとできないといけないなという思いもあり、ある程度の対処はできるようにとトレーニングをしてきました。もし自分の家族に何かあったときに、専門科じゃないから何も手出しできませんというのは嫌ですし、それは患者さんに対しても同じですからね。
ーー以前の整形外科からの患者さんも通われる中で、生活習慣病などの内科的疾患の相談にも乗ってもらえるというのは、患者さんとしてもありがたいですよね。

中尾先生:これまでは整形外科と内科、別々に通っていらっしゃったので、リハビリや整形外科診療のついでに内科も受診できるというのは、当クリニックの強みの1つだと思います。
ーー整形外科では専門医の阿部医師が、そして訪問診療は中西医師が、土曜日に診療されるチーム体制ということで、先生としても心強いのではないでしょうか。
中尾先生:そうですね、とても頼りになる2人ですので、気持ち的にも楽になりますし、やっぱり安心感がありますよね。
患者さんの死生観に寄り添える医師でありたい
ーー訪問診療に関しては、訪問条件もあると思いますが、「クリニックに来られなければ、私が診に行く!」という感じでしょうか。

中尾先生:気持ち的にはそういう感じです。クリニックに来られなくなったらサヨナラっていうのはさびしい話ですし、患者さんからしたら不安が募っていくでしょうから、顔馴染みの医者が診に来てくれるというだけで、安心感にもつながるのではないかと思っています。本当に最後の最期まで診察させていただくということが、私のやりたい医療ですので、患者さんの人生の最期の時までお付き合いできるクリニックでありたいです。
ーークリニック名に「訪問診療」を掲げる由縁はそこにあるのですね。
中尾先生:そうですね、やはり病院に入院されている患者さんで、最後に1回だけでも、お家に帰りたい、ご自宅で最期を迎えたいという方はいらっしゃって、その場合、訪問診療がないと病院側も家には帰せないですから、そういう患者さんの思いを叶えてあげたいんです。やはり患者さんの人生ですから、どうしたいかは患者さんが決めればいいというのが、私の信念です。たとえ、医学的に間違っていると言われたとしても、私は患者さんの死生観に寄り添える医師でありたいです。患者さんが最期まで満足して人生が送れるように、人生のクオリティを担保するためのサポートをしていきたいなと思っています。
ーーそういった患者さんの最期に寄り添うときに、患者さんやそのご家族と接する上で、意識されていることはありますか。

中尾先生:押し付けをしないということです。今後の選択肢として、どういった道があるのか、メリットとデメリットをできるだけわかりやすく、噛み砕いてご説明して、後悔のない決定をしてもらえるように寄り添う、というところです。
ーー「最期にどうしたいか」というのを、患者さんご自身やご家族が決められない場面もあると思うのですが、そんなとき、「もう先生が決めて!」って言われることはないですか。
中尾先生:それはよく言われますが(笑)、「私は決めません」と、そこはきっぱり言います。私の人生ではないので、ご本人が決められない場合は、長く付き合っているご家族が考えるべきことです。ただ、決めたことに対して後悔はしてもらいたくない。あのときは本当にいろんなことを考えて、あれもアカン、これもアカン、でもこっちの方がいいよねって言いながら決めたよねって。振り返ったときに、あのとき決めたことがベストだったと思ってもらえるように、私も向き合っていきたいなと思います。
私は、「リハビリにうるさいタイプ」の医者です(笑)
ーーリハビリ患者も、国里整形外科時代から通われている患者さんが多くいらっしゃるのでしょうか。
中尾先生:そうですね、新しい患者さんにもご利用いただいていますが、まだ開院して2ヶ月ほどですので、メインは以前からの患者さんです。国里整形外科のリハビリスタッフにも残っていただいていますので、そのスタッフを頼って通院してくれている患者さんも多くいらっしゃいます。
ーー2階のリハビリテーションルームも、開院に伴ってリニューアルされたそうですね。

中尾先生:はい、よりリハビリテーションに適した床材に張り替えましたし、各ベッドの高さ調整にも相当こだわっています。私は、「リハビリにうるさいタイプ」の医者ですので(笑)。特にこだわったのは、プラットフォームという、患者さんが寝転がって大の字になれるぐらいサイズの大きいベッドスペースです。段差を登ったり、寝転がったり、立ち上がる練習をするのに必要不可欠だと考え、導入しました。作業療法士を経験したことで得た視点を生かせているのではないかと思っています。
ーーリハビリルームもすごく広いですし、1階の発熱外来専用診察室も、入口がしっかり分けられていて、スペースを有効活用したクリニック作りが印象的です。
中尾先生:やはりコロナ禍を経験して、私もその最前線で診療にあたってきましたので、感染対策を行う上での空間的分離も重要視しています。患者さん側の意識もコロナを境に一変していますので、発熱外来を設置して、診察室もしっかり分けていきたいと考えました。
1つのグループで一貫して福祉と医療のサービスを提供していきたい
ーーそして3階には保育施設の設置も進められていると伺いました。

中尾先生:はい、企業主導型の保育園という形で、2026年4月にオープンします。私の父が経営する社会福祉法人秀幸福祉会では、認定こども園「ちとせ學院」を展開していますので、その一環で当ビルの3階に保育施設を設置し、ゆくゆくはそこで病児保育も展開していく計画です。お子さんが病気になって通園できないけど、ご両親は仕事に行かないといけないという場合にも、お子さんを預かれる施設にしていきたいですね。お子さんの診察もしますし、予防接種も実施していますので、ここに来たらいろいろ対応してくれるから便利だなと思ってもらえるクリニックになればいいなと思っています。
ーー社会福祉法人がバックボーンにあることの強みを、最大限生かしていくというわけですね。
中尾先生:そうですね、そしてその他の展開としては、社会福祉法人では特別養護老人ホーム「庄栄エルダーセンター」や、ケアマネジャーも多数在籍する「エルダーケアプランセンター」、認知症特化型のデイサービスセンター「デイサービス未来」などもあり、福祉方面のリソースは豊富に揃っているので、医療面の充実を図る上でも、今後は訪問看護ステーションを立ち上げていきたいと考えています。福祉と医療で隔たりのない連携をとり、患者様にとって適切なサービスをスムーズに提供できるという形態を実現し、最終的には介護医療院の創設を目指していく考えです。
ーー先生の性格上、ものすごいスピードで計画が進んで行きそうですね(笑)。
中尾先生:はい(笑)。とはいえ、まずはこのクリニックの基盤をしっかりと整え、充実させていかないとそこには進んで行けませんから、1つずつ着実に実績を積み上げながら、次の段階を目指していきたいですね。
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プロフィール
中尾 幸嗣(なかおこおし)経歴
2008年 | 作業療法士免許 取得 関西リハビリテーション病院 勤務 |
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2012年 | 再受験で関西医科大学 医学部 進学 |
2018年 | 医師免許 取得 千鳥橋病院で初期研修 修了 京都市立病院 消化器内科 勤務 福知山市民病院 総合内科 勤務 |
2023年 | 新京都南病院 救急科 非常勤勤務 |
2024年 | 医療法人楽樹会 しらべの森ホームクリニック院長 就任 |
資格
日本内科学会 内科専門医日本医師会 認定産業医
作業療法士
所属学会
日本内科学会日本プライマリ・ケア連合学会
私のハマりもの


クリニック情報

名称 | サンライズ幸 内科・訪問診療クリニック |
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診療科目 | 総合内科、訪問診療、整形外科、リハビリテーション科、感染症外来、各種救急対応、ワクチン相談 |
所在地 | 〒567-0816 大阪府茨木市永代町8-8国里メディカルビル1階、2階 |
電話番号 | 072-646-7733 |
診療時間 | (外来) 9:00~13:00 16:00~20:00 ※土曜は12:30まで。 ※水曜・土曜午後、日曜、祝日は休診 (リハビリ) 9:00~13:00 15:00~19:00 ※土曜は12:30まで。 ※水曜・土曜午後、日曜、祝日は休診 (訪問診療) ※水曜・土曜9時~18時 ※緊急時24時間365日の対応を行っています。 |
URL | ・オフィシャルサイト https://sunrisesachi-clinic.com/ ・インスタグラム https://www.instagram.com/sunrise_sachi_clinic/ |