【インタビュー】神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック 院長:藤木和也先生

(取材日:2025年3月3日)


【兵庫県神戸市/外科・消化器外科|神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック】


JR神戸線「三ノ宮駅」を背に、フラワーロードを山側に歩いて3〜4分ほどの場所にある「神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック」。2025年2月に新規開院したこちらのクリニックでは、男性の3人に1人がなると言われている「そけいヘルニア(脱腸)」の治療を専門的に行っている。太ももの付け根に膨らみが生じる「そけいヘルニア」を、痛みがないからと放置したり、また手術に際して入院を要する病院も多いことから、治療が億劫になってしまう患者が多いそうだが、手術以外に治療法がないこの病気は、最悪の場合、命に関わるケースもあるという。

医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では今回、優しい笑顔が印象的な、院長の藤木和也先生を取材。そけいヘルニアという病気について、また、その手術を日帰りで、かつ腹腔鏡下での実施にこだわる理由や、医師としてのやりがいについて話を聞いた。


フライトドクターとして初期対応を数多く経験してきたというのは、日帰り手術を行なっていく上での強みになるのかなとは思います。


ーー藤木先生はどうして医師を目指されたのですか。



藤木先生:きっかけは小学1年生のときで、僕の地元・徳島で地域の児童劇団みたいなものがあったのですが、その中で徳島に実在した、地域に根差したお医者さんの一生を綴った劇があったんです。それで、その方の人生といいますか、医者としての像をすごく尊敬して、患者さんを大事に、第一に考えるところが、すごく魅力的で。そこで、お医者さんという職業ってすごいなって思ったのがきっかけでした。他にも、プロ野球選手になりたいとか(笑)、そういうのもありましたけど。その当時は、具体的な標榜科まで決めていたわけではないですけど、漠然とお医者さんになりたいっていう感じでした。

ーー外科医を意識されたのは?

藤木先生:お医者さんといえば、やっぱり最初は手術をしているイメージしかなかったのと、高校に入ってから「医龍 -Team Medical Dragon-」を観て、「ああ、外科医ってカッコいいなー」っていうふうに、すごく影響を受けました(笑)。あとは「ブラックジャックによろしく」とか。あの作品に出てくる心臓外科の先生にもすごく憧れて、「外科医になりたい!」って。自分の中のバイブルですね。比較的最近のものでいうと「コードブルー」を観ました。私も一時期、ドクターヘリに乗っていたということもあって。

ーー徳島県立中央病院時代に、フライトドクターをやっていらっしゃったんですよね。



藤木先生:そうですね、ドラマで観るようなことを、そのままやっていたという感じでした。徳島県は山間部が多いので、大きな病院に行くまでに1時間以上かかったりもしますが、ヘリで現場に向かうと、15分で到着してすぐに診療ができます。現場では基本的には、バイタルの確認や、どんな病気を疑うかなど、外科以外の初期対応も行っていました。現場が山中だと、救急隊の方と何十分も歩くということもありますし、到着するとかなりひどい外傷を負われていたという経験もありました。登山中の方はもちろん、自分の山を手入れしに行って遭難される方も多く、標高が高いところは雪も降りますしね、過酷な環境でした。フライトドクターとして初期対応を数多く経験してきたというのは、日帰り手術を行なっていく上での強みになるのかなと思います。


そけいヘルニアは、手術をせずに元通りになることがない病気ですので、「ちょっと様子見」は禁物だと考えます。


ーー神戸でご開業を決意されたのはどうしてですか。



藤木先生:やはり神戸市は人口も多いですし、日帰りでかつ腹腔鏡による、そけいヘルニアの手術を実施しているクリニックが大阪や岡山、広島にはありますが、神戸にはなかったので、お困りの方がいるんじゃないかと思い、この場所で開業しました。

ーーそけいヘルニアは、具体的にはどういう病気でしょうか。

藤木先生:本来、お腹の中の臓器は、腹膜や筋肉で包まれていて、外に出てこないように保たれているのですが、そけい部(太ももの付け根)の筋肉に穴が空いてしまうことで、その穴から、臓器が飛び出してしまう病気です。そけい部に穴が開く原因には、先天的なものと、後天的なものがあり、先天的な場合は小児ヘルニアで、お子様に多いのですが、当院が専門的に扱っている後天的なもの、成人の方のそけいヘルニアの場合は、加齢や、日常動作の中で腹圧がかかることをされている方、例えば立ちっぱなしのお仕事だとか、重たいものを運んでお腹に力がかかったりとか、過度な筋トレですとか、そういったことが原因となることが多いです。ちなみに、そけい部の筋肉は、いくら筋トレで腹筋などのトレーニングをしても、鍛えようがない場所なんです。

ーー臓器が外に出てきた場合に、そけい部の膨らみはどの程度の大きさなのでしょうか。

藤木先生:個人差はありますが、明らかに大きく出ている人もいますし、ピンポン玉の半分もいかないぐらいの方もいます。左右見比べると「ちょっと右が出てるかな?」という感じで気になって受診されるという方もいます。外見上、全く膨らんでいないという方でも、皮下脂肪が被って膨らみが目立たないというだけで、診察すると実際は膨らんでいるという場合もあります。

ーー患者さんが受診した方がいいタイミングは?



藤木先生:気づいた時点で受診するのが得策です。というのも、基本的には膨らみが大きくなっていく病気ですし、例え小さい膨らみであっても、嵌頓(かんとん)と言って、臓器が飛び出して戻らない状態になってしまうこともあります。嵌頓状態になると、飛び出した臓器が例えば腸であった場合、血流がなくなり、そこが壊死して破れ、腹膜炎を起こしてしまい、命に関わる状態になってしまいます。

ーー嵌頓状態になった後、壊死したり腹膜炎を起こすまでの時間はどれぐらいですか。

藤木先生:早い人は、数時間ですね。緊急の処置が必要になりますし、壊死した腸は切らないといけないですから、そうなると腹腔鏡で手術を行うことは難しくなり、お腹を大きく切る手術が必要になる場合が多いです。もちろん入院が必要で期間も長くなります。そうなる前に早めに手を打っていく必要がありますし、手術をせずに元通りになることがない病気ですので、「ちょっと様子見」は禁物だと考えます。

ーーそけいヘルニア自体は、かなり高い割合で発症する病気ですよね。

藤木先生:そうですね。ある文献によると男性の3人に1人はなると言われています。女性の場合は30人に1人という割合です。男性の方が圧倒的に多いのは、体の構造的な問題で、男の子って胎児のとき、精巣はお腹の中で作られ、それが成長とともに「そけい管」という道を通って陰嚢に降りてくるのですが、その道が残ったままになっていることがあり、そこから臓器が出てくるケースが多いんです。

ーー基本的に、出てくる臓器は腸が多いのでしょうか。



藤木先生:腸であることもありますが、それだけではなくて、大網という胃から垂れ下がる脂肪が出ているケースもありますし、女性の場合は近くに卵巣がありますので、卵巣が出てくる方も中にはいらっしゃいます。

ーーお話を聞けば聞くほど怖くなってきます・・・。

藤木先生:そうですよね(笑)、知れば知るほど怖くなる病気です。


そけいヘルニアは、お腹の中に入らずに手術ができる病気ですので、私はTEP法を採用していますが、TEP法を実践している外科医は少数派です。


ーークリニックでのそけいヘルニアの日帰り手術で、藤木先生が腹腔鏡手術を取り入れられているご理由は?



藤木先生:お腹を大きく切開するやり方に比べると傷が小さく、患者さんにとって侵襲が少ない手術が可能であるという理由です。あと、執刀医にもよりますが、基本的には腹腔鏡手術の方が再発率が低いと言われています。

ーー腹腔鏡手術の中でも、藤木先生の場合、完全腹膜外修復法(TEP法)という手法だそうですね。

藤木先生:腹腔鏡手術には、多くの病院が実施しているTAPP法と、当院が取り入れているTEP法の2種類あります。TAPP法は、お腹の臓器を包んでいる腹膜の中からアプローチする手法なのですが、TEP法では、腹膜は突破せずに、腹膜の外側で修復をしていきます。どちらの手術でも腹膜と筋肉の間に、空いた穴を補強するためのメッシュを置くのですが、そけいヘルニアに関しては、お腹の中に入らずに手術ができる病気ですので、私はTEP法を採用しています。ただ、TEP法を実践している外科医は少数派です。というのも、TEP法を指導できる先生がそもそも少ないという現実がありまして。その中でも当院は、傷が1つの「単孔式腹腔鏡手術」を実施しているので、さらに数が少ないのではないかと思います。


患者さんに、「手術してよかった」と言ってもらえたときが、一番やりがいを感じます。


ーーこちらのクリニックは、土曜日も診療していて、オンライン診療にも対応されているので、お忙しくて手術に対して億劫な方でも、利用しやすい環境ですね。



藤木先生:初診時はご来院いただきますが、手術の説明や術後の状態を伺う際には、オンライン診療も実施しており、できるだけ患者さんの来院の手間を少なくするために導入しています。手術後はどうしても痛みがあったりするので、そんな中でお越しいただくのは忍びないですからね。

ーー藤木先生が医師としてやりがいを感じる瞬間はどういう瞬間ですか。

藤木先生:やはり患者さんに、「手術してよかった」と言ってもらえたときです。術前術後で、膨らみがなくなって明らかに見た目が変わりますからね。膨らみを気にして生活されている方、温泉などの公共の場に行くのを控えてしまっている方もいらっしゃいますから、そういった方に「ありがとう」と言ってもらえたときが、一番やりがいを感じます。

ーーそれでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

藤木先生:そけいヘルニアの手術では、病院の方針によっては3泊4日の入院が必要だと言われるケースもあるのですが、当院では日帰りでの単孔式腹腔鏡手術を行っており、お傷も小さく、お体への負担も少なく治療を受けていただくことが可能です。そけいヘルニアは、様子を見て改善される病気ではありませんので、気づいた時点でお早めにご相談ください。

<プロフィール>

藤木 和也(ふじき かずや)

◾️経歴
2007年3月 徳島県立城南高等学校卒業
2014年3月 島根大学医学部医学科卒業
2014年4月 社会福祉法人仁生社江戸川病院 初期臨床研修医
2016年4月 徳島県立中央病院 外科・フライトドクター
2020年4月 社会医療法人愛仁会明石医療センター 外科
2023年4月 医療法人Gi Gi外科クリニック 外科
2023年8月 京都そけいヘルニア日帰り手術Gi外科クリニック 院長
2025年2月 神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック 院長

◾️資格
外科専門医
消化器外科専門医
消化器がん外科治療認定医
鼠径部ヘルニア修得医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
緩和ケア研修会修了
日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
JATECインストラクター

◾️所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本内視鏡外科学会
日本ヘルニア学会

<私のハマりもの>

小学1年で野球を始めてからずっとハマっていますが、阪神タイガースのファンです。父と兄に連れられてよく甲子園に観に行ってました。私が子供の頃に活躍していたのは、桧山進次郎選手でした。チームが低迷してつらい時代が長かったですが(笑)、それでもファンをやめることはなかったですね。私の中でのミスタータイガースは、新庄剛志選手ですかね。花がありましたし、おもしろい選手でした。巨人戦で敬遠球をサヨナラ打にしちゃうとかね、実際にやったら絶対に監督に怒られますけど、真似をしようと練習してました(笑)。2023年の優勝の瞬間は、球場には行けなかったのでテレビで応援していました。今季は藤川球児新監督ということですが、火の玉ストレートを投げていた男が監督をするわけですからね、そりゃぶっちぎってもらわないと(笑)。タイガース以外での注目は、広島にドラフト3位で入団した岡本選手ですね。同じ高校の後輩ということで、活躍を楽しみにしています。
↑超人糸井は引退してしまいましたので、現在はサトテルを着ています(笑)。

●ブログ「ときどき『阪神タイガース』」
https://kazclinic.jp/category/sometimestigers

<クリニック情報>


名称 神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック
診療科目 外科・消化器外科
所在地〒650-0001 神戸市中央区加納町3丁目1-26 ユニバーサル神戸ビル7階
電話番号078-954-7018
診療時間09:00 – 12:00(月曜~土曜)
13:00 – 17:30(水曜以外)
休診日日曜・祝日
※予約優先制、当日予約可
※受付終了時間は17:30です
URL・オフィシャルサイト
https://kazclinic.jp/
・Instagram
https://www.instagram.com/kobesokei_kazclinic/

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