
【兵庫県尼崎市】
整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科
まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック 院長 松浦孝紀 先生
JR「尼崎駅」、再開発が今も進む北側のエリアは、ショッピングモールやクリニックモール、そして新築分譲マンションが立ち並び、新たな人の流れが生まれ、外部から移住してきた多くの人たちの新しい生活も、ここで息づいている。このエリアの象徴とも言える「潮江緑遊公園」は、柔らかな緑と水のきらめきが都会の喧騒を忘れさせてくれるような癒しの場所として、小さな子どもから高齢者まで、利用者の年代は幅広い。
そんな潮江緑遊公園の目の前に、2025年8月に新規開業した「まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック」。院長の松浦孝紀先生は、整形外科医としての研鑽を積みながら、「痛みのメカニズム」や「痛みのコントロール」についての研究を重ね、カナダ・トロント大学へも留学し学んだ、「痛みの専門家」である。
医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では今回、松浦先生が自身の膨大な時間を捧げて追究している「痛み」をテーマに、様々なお話を聞かせていただいた。それらは、松浦先生流の「痛みに対する哲学」に溢れる貴重な内容であったが、「なぜ痛みを追究するのか」という問いの裏には、この地の人たちに「いつまでも、長く元気に歩ける日常を送ってもらいたい」という、医師としての理念が貫かれていた。
目次
「歩く」を支え続けたい
松浦先生が整形外科医を志した理由
ーー先生は中・高・大と硬式テニスをされていたそうですね。現役時代はケガで整形外科にお世話になることも多かったのですか?

松浦先生:私は一度、肘を痛めたことがある程度で、実はあまりケガの多い選手ではありませんでした。ただ、医学生の頃は大学からスポーツを始める友人も多く、ケガをして苦しむ姿をよく目にしました。そうした中で、「ケガをしやすい人としにくい人では、体の使い方にどんな違いがあるのか」「関節をどう動かせば体がより柔らかく動くのか」などを科学的に考えながら、仲間の動きを観察するのが好きでした。
ーー学生時代からすでに“体の使い方”に興味をお持ちだったのですね。整形外科を志したのも自然な流れだったのでしょうか。
松浦先生:そうですね。私の出身である産業医科大学は、「働く人の健康を守る産業医を育てる」という目的を持った少し特殊な大学です。労働者の健康を維持し、長く働くためにはどうすればよいかを学ぶ中で、「予防医学」という考え方にも強く惹かれました。しかし、やはり私自身の関心は“人の動作”や“体の使い方”、そして“歩く”という基本的な機能にありました。その思いがあって、最終的に整形外科の道を選びました。
ーー「歩く」というのは、日常的すぎてその大切さを忘れがちな動作ですよね。
松浦先生:本当にそうです。歩くことは一見単純な動きに思えますが、歩けなくなると代謝が落ちて肥満や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病につながることもあります。ですから私は、「できるだけ長く歩ける体でいてほしい」「歩く機能を最後まで維持してほしい」という思いを強く持っています。整形外科医として患者さんの“歩く力”を支えることが、私の使命だと感じています。
ーー大学院では「痛み」について研究されていたそうですね。

松浦先生:はい。「歩く」という機能を考える中で、「痛みがあるために歩けない」という課題に直面しました。そこから研究テーマを“痛み”に移し、大学院では、現在産業医科大学の学長を務められている上田先生のもとで、痛みのメカニズムやコントロール方法について研究を重ねました。「痛みの原因は何か」「痛みとどう向き合うか」を追究する過程で、患者さん一人ひとりに寄り添い、根本から改善を目指す今の診療スタイルが形づくられたのだと思います。
患者さんの「体全体を診る」診療を目指して
痛みの背景にある「体の動き」と「心」にも目を向ける
ーー「痛み」に関する研究を通じて、どのようなことが分かってきたのでしょうか。

松浦先生:私は、痛みというのは体の一部だけで起こるものではなく、体全体、そして心の状態とも深く関係していると考えています。近年では「痛みの慢性化」というモデルが確立されつつあり、骨や筋肉だけでなく、脳や脊髄といった神経の働きが痛みに関わっていることが分かってきました。また、慢性的な痛みは「心の不安」を生み出す一方で、不安そのものが痛みを強める――そうした“悪循環”が起こることもあります。不安を抱えることで痛みの感じ方(閾値)が下がり、より敏感に痛みを感じやすくなるという仕組みが明らかになってきているのです。こうした研究を通じて学んだのは、「痛みを診るときは、体と心の両面から捉えることが大切だ」ということでした。そのため当院では、体全体の動きやバランス、関節や筋肉の連動性を丁寧に評価し、痛みの根本原因を探る診療を行っています。カナダでの研究経験を通して、「部分ではなく全体を見る」ことの大切さを学んだからです。クリニックのロゴマークに“脳と脊髄・筋肉・骨”のデザインしたのも、そんな思いを込めたかったからです。
ーー整形外科医としてのご経験の中で、特に印象に残っている出来事はありますか。
松浦先生:大学院で基礎研究を行い、その後は臨床の現場で多くの患者さんを診てきました。中でも印象に残っているのは、コロナ禍での経験です。外出機会が減ったことで、高齢の方の体力や筋力が低下し、その結果、手術後の回復が思うように進まないケースが増えたのです。つまり、筋力を維持し、歩行や運動機能を高めておくことが、良い手術成績や回復につながるということを改めて実感しました。すべての治療で手術を行うわけではありませんが、体の“ベース”を整えることが最良の結果につながる――その確信を得た出来事でした。
ーークリニックでは「動きの質」や「痛みの原因」を評価するシステムを導入されているそうですね。

松浦先生:はい。私たち整形外科医は、まず患者さんの「痛み」という結果に注目しますが、その痛みに至るまでのプロセスを丁寧にたどることで、真の原因が見えてくると考えています。そこで当院では、7つの基本的な身体動作パターンをもとに「動きの質」を評価し、痛みの原因を分析する動作評価システムを導入しています。このシステムを活用することで、ケガの予防や再発防止につなげるとともに、患者さんの体を“部分ではなく全体”として捉えた診療を行っています。
ーー「体全体を診る整形外科」というのは、具体的にどのような視点を大切にされているのでしょうか。
松浦先生:私は、痛みがある場所だけを診ても十分ではないと考えています。たとえば股関節に問題がある方の中には、膝や腰椎にも不調がみられるケースが少なくありません。また、股関節の可動域が硬い方でも、胸郭をしっかり動かし、腰椎部を柔軟に保つことで、股関節の動きが改善することがあります。つまり、体の一部ではなく、全体の動きの“つながり”を診ることが大切なのです。そのため当院では、胸郭の機能にも着目し、必要に応じて呼吸器検査などで使われるスパイロメーター(呼吸機能測定器)を活用しています。呼吸や姿勢、全身の連動性を含めて診ることで、より根本的な治療を目指しています。
認知行動療法的なアプローチも時には重要
痛みを理解した上で、その人のために何ができるかを考えたい
ーー先生は、痛みや症状といった目の前の「結果」から逆算して、論理的かつ俯瞰的にその根本原因を特定するストーリーを描くように診療を進められるのですね。

松浦先生:そうですね。加えて、私は整形外科の領域でも、精神科で用いられる「認知行動療法的なアプローチ」が時に非常に重要だと考えています。たとえば、ケガによる痛みを抱える患者さんの中には、その痛みをとてもネガティブに捉え、「以前の自分とのギャップ」を強く感じて不安を募らせてしまう方が少なくありません。この不安が痛みをさらに助長し、いわゆる「痛みの慢性化モデル」が形成されてしまうこともあります。だからこそ私は、患者さんが今の状態を正しく理解し、受け入れながら前に進めるように、痛みのメカニズムや回復のプロセスを丁寧に説明することを大切にしています。単に痛みを取り除くだけでなく、「痛みとどう向き合い、どう乗り越えていくか」という部分までサポートすることが、整形外科医としての重要な役割だと感じています。
患者さん一人ひとりにとって“最善の結果”を目指して
この街を、健康な人があふれる街にしていきたい
ーー「的確な治療から再発予防へ。痛みを起こさない体づくり」を実践するために、リハビリテーションルームにはどのような工夫をされていますか?

松浦先生:リハビリは私にとってとても重要な分野です。ケガをしてすぐの「急性期」と、ある程度落ち着いた「慢性期」では、必要なリハビリの内容が全く違います。そのため、それぞれに対応できるよう、必要な機器や設備をしっかりと整えました。理学療法士の先生方にも、私の診療方針を共有し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた指導を行ってもらっています。痛みや炎症を抑えるだけでなく、運動療法をうまく組み合わせながら、できるだけ早く、そして再発しにくい形で回復を目指せるような環境づくりを意識しています。
ーークリニック名に「スポーツ・リハビリクリニック」とある通り、スポーツによるケガや障害で来られる方も多いのでは?
松浦先生:そうですね。JR尼崎駅の北側は再開発が進んでいて、若い世代の方が多い地域です。そのため、スポーツ整形の分野では10代〜20代の方の来院が特に多いですね。それともう一つ、実はこの場所を選んだ理由のひとつが、クリニックの目の前にある「潮江緑遊公園」です。リハビリの中で「歩く」という動きを大切にしているのですが、公園のように広くて安全な場所がすぐ目の前にあるのは、とても理想的です。リハビリ中の患者さんにも、自然の中で気持ちよく歩いてもらえる環境をつくれるのが、このクリニックの大きな魅力だと思っています。
ーー最後に、『エムアンド』をご覧の読者へメッセージをお願いします。

松浦先生:今ある「痛み」という結果に対して治療を行うのはもちろんですが、私は「どうしてその痛みが起きたのか」「どうすれば再発を防げるのか」という部分をきちんと伝えていきたいと考えています。そして、この街を20年、30年先も“健康な人がたくさんいる街”にしていけたら嬉しいですね。患者さんとは長くお付き合いすることになるかもしれませんが、信頼関係を大切にしながら、お一人おひとりにとって最善の結果となる医療を提供していきたいと思っています。
まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック
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プロフィール
松浦 孝紀(まつうら たかのり)経歴
2006年 産業医科大学 医学部卒業、初期臨床研修医2008年 産業医科大学 整形外科入局・修練医-産業医科大学病院 新小倉病院 福岡新水巻病院-
2012年 産業医科大学大学院 入学
2012年 産業医科大学 整形外科学 非常勤医師
2016年 博士(医学)の学位授与 カナダ・トロント大学生理学 博士研究員
2018年 西日本産業衛生会 産業医、健愛記念病院 整形外科、産業医科大学 整形外科学 非常勤医師
2020年 九州労災病院 門司メディカルセンター 整形外科 部長
2023年 西宮渡辺病院 人工関節センター 副部長
所属
日本整形外科学会日本膝関節学会
日本股関節学会
日本人工関節学会
日本疼痛学会
国際疼痛学会
日本いたみ財団
日本骨粗鬆症学会
日本抗加齢学会
資格
日本整形外科学会認定整形外科専門医産業医科大学産業医学基本講座修了認定(産業医)
医学博士
日本骨粗鬆症学会認定医
日本整形外科 スポーツ認定医・リハビリテーション認定医・リウマチ認定医
その他
日本いたみ財団 いたみマネージャーFunctional Movement Screen (FMS) Level 1・2 修了
Selective Functional Movement Assessment (SFMA) Level1 修了
POSTURAL RESTORATION INSTITUTE(PRI) Postural Respiration修了
◆論文業績についてはこちら>
私のハマりもの
いろんなスポーツを「観る」のが大好きです!スポーツ観戦が大好きです。自分でも長くプレーしていたテニスはもちろん、陸上やサッカーなど、ジャンルを問わずいろんなスポーツを楽しんでいます。
カナダ留学時は、国技のアイスホッケーをはじめ、野球(MLB)やバスケットボール(NBA)の試合もよく観に行っていました。どの試合も迫力満点で、観客との一体感が本当にすごいんです。
今でも地元・兵庫のチームを応援しています。 スタジアムに足を運んでヴィッセル神戸の試合を観戦したり、子どもたちと一緒に阪神タイガースの試合を観に行ったりしています。家族でタイガースのファンクラブにも入っているんですよ。
…ただ、甲子園のチケットは人気すぎて、なかなか取れないのが悩みです(笑)。
クリニック情報


| 名称 | まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック |
|---|---|
| 診療科目 | 整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科 |
| 所在地 | 〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江5丁目4番17号 尼崎メディカルブリッジ1階 |
| 電話番号 | 06-4950-0050 |
| 診療時間 |
9:30~12:30 15:30~18:30 |
| 休診日 | 木曜午後・土曜午後・日曜・祝日 |
| URL | ・オフィシャルサイト https://matsuura-ortho.com/ ・インスタグラム https://www.instagram.com/matsuura.orthopedic/ |













