
【大阪市大正区】泌尿器科・緩和ケア科
やまぐち腎・泌尿器科クリニック 院長 山口唯一郎 先生
大阪市大正区千島、大正区役所に隣接する「ちしまメディカルパーク」内に、2025年4月に開院した、やまぐち腎・泌尿器科クリニック。院長の山口唯一郎先生は、これまでに数多くの病院で様々な泌尿器科疾患と向き合ってきた泌尿器科のスペシャリストだ。
泌尿器科と言えば、老若男女を問わず、排尿トラブルから性感染症や悪性腫瘍まで、何かとお悩みの多い診療科ではあるが、部位的な気恥ずかしさもあり、特に初診のハードルが高いのではないだろうか。しかし、例えば血尿から膀胱がんが見つかることや、頻尿で受診した際の血液検査で早期の前立腺がんが発見されることもあるように、泌尿器科症状の早い段階で専門的な検査や診察を受けることで、隠れた大病の早期発見につながることがある、と院長の山口先生は言う。
医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では、泌尿器科に関する身近で些細な症状から、緩和ケアが必要な終末期医療に至るまで、泌尿器科疾患を知り尽くした院長の山口唯一郎先生を取材。泌尿器科疾患に関する話題はもちろんのこと、緩和ケアの有資格者でもある山口先生が、クリニックでの外来のみならず、大阪市内西部エリアでの訪問診療を実践する理由など、詳しく話を聞いた。
目次
泌尿器科を選択した理由
最初から最期まで、患者さんと関わることができるのが「泌尿器科」
ーー山口先生が泌尿器科の道に進まれた理由からお聞かせください。

山口先生:学生時代は手術に興味がありましたので、外科、整形外科、泌尿器科など選択肢はいくつかありました。泌尿器科は、他の科と比べて悪性腫瘍、排尿障害から腎移植や男性不妊、尿路結石、小児泌尿器科まで扱う領域が広く、また内視鏡手術から開腹や腹腔鏡手術、最近ではロボット手術まで色々な手術があることも興味を惹かれました。また受診された症状から自分で診断をつけて、手術や治療をして、その後のフォローまで患者さんと一貫して接することができる点も魅力的でした。
ーー泌尿器内科・泌尿器外科というふうに分かれてはいないですものね。
山口先生:そうですね、前立腺肥大症による排尿障害の手術から癌や尿路ストマの手術まで様々な手術がありますし、薬物治療や抗がん剤治療も行いますし、例えがん治療をやり尽くしたとしても、現在の私のように緩和治療までを診療範囲とすることで、最初から最期まで患者さんと関わることができますから、泌尿器科を選んで良かったなと思っています。
ーーご開業の地である大阪市大正区の千島エリアは、高齢者も多く、泌尿器疾患でお悩みの患者さんも多いそうですね。
山口先生:そうですね、高齢化に伴って泌尿器科に関するお悩みは増えていきますから、エリア的にもお困りの方が多いのではと思っていたのですが、実際この場所で開業してみると、若年層の患者さんも多かったので、その点は少し驚いています。男女比も半々といったところです。今までこのエリアでは泌尿器科の相談場所が少なかったとの声を聞きますので、地元密着型の泌尿器科クリニックを目指したいと考えています。
前立腺肥大症の検査や治療を進める中で、前立腺がんが発見されることもある
高齢男性の典型的な症状は、「夜中のトイレが増えてきた」
ーーまず、男性患者に多い泌尿器のお悩みは、どういったものでしょうか。

山口先生:男性の場合は、尿のキレが悪くなった、尿の勢いが弱くなったなど、いろいろなお悩みがありますが、「夜中のトイレが増えてきた」という相談も多いですね。40代以上の男性は、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
ーーそれは、何かの病気のサインだったりするのでしょうか。
山口先生:前立腺肥大症の症状として、夜間の頻尿が現れることがあります。加齢に伴いホルモンバランスの関係で、夜間の尿量が増えている場合もあります。
ーー夜間のトイレの回数が増えたとしても、排尿時に痛み等がなければ、病気だと認識しづらいですよね。
山口先生:そうですね、前立腺肥大症の症状として夜間頻尿や残尿感などがありますが、前立腺の病気の中には前立腺がんも含まれてきます。前立腺肥大症=前立腺がんという関連はなく別物ではありますが、前立腺肥大症の検査や治療を進める中で、前立腺がんが発見されるというケースも少なくありません。ですから、排尿に関する違和感を「歳だから仕方ないのかな」と思わずに、一度泌尿器科を受診してもらいたいですね。
ーー逆に、若い男性特有のお悩みや症状はありますか。

山口先生:尿道炎や性感染症が多いですね。排尿時に痛みがある、尿道から膿が出てくるなどの症状で受診されて、検査をしたら性感染症であったというケースは非常に多いです。ただクラミジアなどは症状が軽い場合も多く、心配であれば早めに検査をすることをお勧めします。相手にうつすこともある病気ですから、きちんと検査をして治療することが重要です。最近では梅毒も増えていますしね。女性のパートナーが性感染症と診断され、男性側も不安になって受診されるというパターンも多いです。
男性更年期障害の受診は、泌尿器科へ
男性ホルモンを補充することで、症状が改善されるケースもあり
ーー男性特有の症状で、何か気をつけた方が良いものはありますか。

山口先生:40代以降の男性で、最近元気がない、食欲がない、眠れない、性欲が減退しているなどの症状がある場合、男性更年期障害の可能性があります。この場合、テストステロンという男性ホルモンが不足していることが原因ですので、男性ホルモンを補充することで症状がずいぶんと改善されるケースがあります。
ーー「更年期障害=女性特有の症状」というイメージが強いだけに、そういった症状の相談先として、男性が泌尿器科を受診するというのが、患者側からすると少しつながりにくいですよね。
山口先生:そうですよね、先ほどお話しした症状が男性更年期障害からきている可能性もあるので、泌尿器科で診療ができるということをまずは広く知ってもらいたいですね。検査結果が正常な場合でも、漢方薬などで症状が改善する場合もあります。勃起障害でお悩みの方には、自費診療になりますがお薬を処方することもできます。
ーーお子さんが来られる場合もありますか?
山口先生:おちんちんが赤く腫れている、おねしょが治らないなど色々な相談があります。子供の泌尿器科のお悩みにも対応していますのでご相談ください。
女性に多い泌尿器疾患のお悩みは、「頻尿」と「尿漏れ」
今回のクリニック作りで意識したことは、「水色を使わない」ということ
ーー女性に関してはどういった泌尿器のお悩みが多いですか。

山口先生:女性に多いお悩みは、「頻尿」と「尿漏れ」です。おしっこが近い、我慢できない、待ったがきかず漏れる、くしゃみをしたら漏れてしまうなどの症状は程度に個人差はありますが、多くの女性がお持ちのお悩みですね。
ーー外出先で緊張からトイレに行きたくなる、という方も多そうです。
山口先生:そうですね、緊張から尿意がくる場合もありますし、水を見たり、水の音を聞いたり、手を洗うとトイレに行きたくなるという女性も多いです。ですので、今回のクリニック作りでは「水色を使わない」ということを意識しました。うちのクリニックに来るとトイレに行きたくなるとは思ってほしくないですからね。尿意は精神的な要素も大きいので、お薬で尿意を抑えることで症状の緩和を目指します。
ーー他にはどういった病気が多いでしょうか。
山口先生:他では膀胱炎が多いですね。高齢で膀胱炎を繰り返す方の中には、おしっこを出し切れておらず、残尿が常に残っている方もいます。
ーーおしっこを出しきれていないというのは、具体的にはどういった状況なのでしょうか。

山口先生:トイレには頻繁に行くけれど、超音波検査をすると残尿が残っている場合があります。尿を全て出し切れておらず、神経因性膀胱と呼ばれる状況です。
ーーそんな場合があるんですね!
山口先生:特に高齢者に多いです。残尿が多量に残っていると腎臓にも悪影響を及ぼしてしまいますので、出しきれていない尿がないかを調べて治療をする必要があります。初期の頃は残尿感があったとしても、だんだんと尿意を感じなくなり、尿が残っていることに体が気づかなくなってしまいます。例えば他の診療科で頻尿のお薬を処方されている方が、残尿がある状態で内服を続けてしまうと、さらに残尿を増やして悪化させることにもつながります。
ーー普段の生活の中でそういったことを教えてくれる人って、周りになかなかいませんのですごく勉強になります。
山口先生:それはそうですよね(笑)。ですので、おしっこのことで少しでも気になることがあれば、とりあえず相談に行けるような、気軽で身近な泌尿器科クリニックにしたいと考えています。
「泌尿器科の在宅緩和治療」を実践
「緩和治療認定医」の資格を持つ泌尿器科専門医・指導医による訪問診療
ーー山口先生は外来の一方で、「在宅・緩和医療」にも注力されているそうですね。

山口先生:前立腺がんや膀胱がん、腎臓がんなど泌尿器がんの末期には、他のがんと同じく痛みなどのつらい症状が現れます。大阪府立成人病センター時代の上司が緩和ケアを実践されていたことで興味を持ち始め、JCHO大阪病院時代に緩和ケアチームに参加し、そこで日本緩和医療学会の「緩和治療認定医」の資格を取得しました。
ーー泌尿器科医で、その「緩和治療認定医」の資格を保有されている方は珍しいですよね。
山口先生:そうですね。泌尿器がんなどで病院からホスピスに移る場合もありますが、ご自宅で余生を過ごしたいという方も多くいらっしゃいます。その場合に泌尿器科の専門医でかつ緩和治療の有資格者が在宅医療を提供できるというのは、泌尿器疾患を持つ患者さんにとっては安心材料になるのではないでしょうか。そういった理由から、「泌尿器科の在宅緩和治療」を、このクリニックで実践してきたいという考えです。24時間対応で在宅医療を行いますし、希望があればご自宅での看取りまで行います。緩和ケアチームでは色々ながん末期の患者さんを診てきましたので、泌尿器がん以外の患者さんや慢性疾患の患者さんでも対応は可能です。地域は大正区でなくても大阪市内の西寄りの地域であれば訪問可能ですので、ご相談ください。
ーー山口先生には、どういったタイミングで訪問診療の相談をすれば良いでしょうか。
山口先生:基本的には「通院が困難になった」というのが、ご相談いただくタイミングになると思います。多くの場合は病院の主治医の先生から連絡を頂くことが多いですが、病院への通院が大変になった際に、直接ご連絡を頂いても構いません。総合病院の主治医の先生と連携して、在宅での症状緩和治療を訪問診療により続けていきます。泌尿器疾患の患者さんの中には、おしっこの管が入っていたり、腎臓や膀胱にも管が入っていたり、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)が造設されている場合もありますから、そういった場合でも、泌尿器科医として在宅で処置をすることが可能です。
ーー前立腺がんや膀胱がんといった泌尿器がんは、罹患率の高い病気なだけに、終末期の緩和治療の面で、これまでお困りになっていた患者さんも多かったはずですよね。

山口先生:前立腺がんを始めとする泌尿器がんは他科のがんと比べて、進行がそれほど早くないものが多いです。終末期の期間も比較的長いため、その分ご自宅に長くいられます。その時間を有意義なものにして頂くためにも、泌尿器科医である私の専門性を活かしていきたいですね。
ーーありがとうございます。最後に、エムアンドの読者に、メッセージをお願いします。
山口先生:泌尿器科には馴染みのない方も多いと思いますが、排尿や性の悩みなど日常生活と密接に関係した診療科です。おしっこの問題から男性更年期、泌尿器がんの治療や緩和治療まで幅広く、地域に根差した泌尿器科クリニックでありたいですね。総合病院を受診するほどの症状ではないと思う方でも、お気軽にまずはご相談ください。
やまぐち腎・泌尿器科クリニック
プロフィール
山口 唯一郎(やまぐち ゆいちろう)経歴
| 大阪府立北野高等学校卒業 | |
| 2002年 | 香川医科大学卒業 |
| 2002年 | 大阪大学医学部附属病院 泌尿器科研修医 |
| 2003年 | 兵庫県立西宮病院 泌尿器科研修医 |
| 2004年 | 大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)泌尿器科レジデント |
| 2006年 | 箕面市立病院 泌尿器科医員 |
| 2011年 | 国立病院機構大阪医療センター 泌尿器科医員 |
| 2012年 | 大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)泌尿器科医長 |
| 2015年 | 地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 泌尿器科医長 |
| 2023年 | 公立学校共済組合近畿中央病院 泌尿器科医長 |
| 2025年 | やまぐち腎・泌尿器科クリニック 開業 |
資格
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医日本緩和医療学会緩和医療認定医
日本がん治療認定医
日本泌尿器内視鏡学会認定泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会認定技術認定取得者(泌尿器腹腔鏡)
ダ・ヴィンチサージカルシステム認定医
所属学会
日本泌尿器科学会日本緩和医療学会
日本排尿機能学会
日本性感染症学会
日本癌治療学会
日本泌尿器腫瘍学会
日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会
日本内視鏡外科学会
日本メンズヘルス医学会
私のハマりもの

クリニック情報


| 名称 | やまぐち腎・泌尿器科クリニック |
|---|---|
| 診療科目 | 泌尿器科・緩和ケア科(在宅医療) |
| 所在地 | 〒551-0003 大阪府大阪市大正区千島2丁目4-4 パルティちしま1階 |
| 電話番号 | 06-6555-1218 |
| 診療時間 |
9:00~12:30、16:00~19:00 ※土曜午前は13:00まで |
| 休診日 | 木曜、土曜午後、日曜、祝日 |
| URL | ・オフィシャルサイト https://yamaguchi-uro.com/ ・インスタグラム https://www.instagram.com/yamaguchiuroclinic/ |












