芦屋市の総合内科・健診「芦屋クリニックのぞみ」

(取材日:2025年6月17日)

【兵庫県芦屋市】総合内科・健診・リハビリテーション 
芦屋クリニックのぞみ 院長:守上祐樹 先生 


人工島として建設され、完成から約30年が経過している、兵庫県芦屋市の「南芦屋浜エリア」。緑豊かな公園やマリーナ、そしてマンション群が立ち並ぶウォーターフロント都市として整備され、近年では、新たに開発された戸建てエリアが、無電線化されたスマートタウンとして人気を博し、若いファミリー層も定着している。

そんな南芦屋浜は、海を臨む美しい街として、レジャーやイベントでの利用者も多いエリアではあるが、地域住民の医療事情に目を向けると、そこには解決すべき課題もあるという。というのも、完成当初からこの地に移り住んできた方々の超高齢化が進む一方、若年ファミリーが流入することで住民の世代が二極化し、そんな中で、総合病院とクリニックがそれぞれ1件ずつと、地域医療を支えるには医療機関が極端に少ないという現実があるからだ。

医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では今回、大阪市旭区の「守上クリニック」で副院長を務める傍で、「芦屋クリニックのぞみ」の院長を兼任する、守上祐樹先生を取材。在宅医療のスペシャリストでもある守上先生が、地域医療の窓口として、高齢者から若年層まで幅広い世代の患者ニーズに応えるべく、特定の疾患や臓器に専門特化するのではなく、患者の体全体を診る「総合診療」を提供する、その理由について詳しく話を聞いた。



芦屋市で「総合内科診療」に取り組む理由

自分が生まれ育った町に対して、何かできることがあればうれしい


ーーもともとこの場所は、「芦屋放射線クリニックのぞみ」だったそうですが、前院長の急逝により一時閉鎖。その後、医療法人双樹会が引き継ぐ形で、「芦屋クリニックのぞみ」としてリスタートされたわけですが、そこで“総合内科診療クリニック”というスタイルを取られた経緯は?


守上先生:クリニックの方向性をどうしていくかというのはすごく悩んだのですが、私のスキルや経験が最も活かせるのは、患者さんの体全体を診ていく「総合診療」になりますし、この南芦屋浜の近隣エリアは、芦屋市としてはメディカルエリアにしていきたかったそうなのですが、結果、総合病院と歯科医院のみで、他の診療科のクリニックがありませんでしたので、自身の専門性を地域に還元できるのではないかと考え、総合診療科をメインに据えました。

ーー守上先生の地元でもありますよね。

守上先生:はい、自分が生まれ育った町に対して、何かできることがあればうれしいなという思いもありました。大好きな町ですので。

ーー南芦屋浜エリアならではの、医療課題というのはありますか。


守上先生:人工島であるこのエリアが完成して、30年程経っていますが、高齢化が進む中で、クリニックがほとんどないという点ですね。それではやはり、住民のみなさんは困りますよね。総合病院はありますが、それだけでは支えきれない。また、南芦屋浜だけではなく、例えば浜風エリアに建てられた団地では、エレベーターが各階には止まらないということもあり、膝や腰が悪い方は、階段の上り下りに苦労されています。その中で複数の病気を抱えていらっしゃる方は、いろんな診療科を受診しなければならず、どんどん足腰が悪くなっていくという現状があります。

ーーだからこそ、何か1つに専門特化したクリニックより、まず医療の入り口として総合的に診ることができる存在が求められるということですね。

守上先生:そうですね、そこで、総合診療や訪問診療のスキルを活かして、体全体を診る医師がいれば、地域の方にとっては受診の負担も軽減でき、少しは楽になってもらえるのではないかと考えました。

ーーその一方で、クリニックのさらに南側のエリアは、「芦屋スマートシティ」と言われる新しいエリアだそうですね。

守上先生:そうですね、無電線化された戸建て街区が広がっていて、ここは新しく移り住んで来られた若いファミリー層も増えています。当院ではCTやMRIなどの検査機器も完備していますので、総合診療はもちろんのこと、病気を早期発見するためのドックメニューも豊富ですから、ご高齢者のみならず、幅広い層の患者さんに利用していただきたいですね。

“町医者スタイル”へのこだわり

近所のおっちゃんおばちゃんから「先生!」って声をかけてもらえる町医者でありたい


ーー守上先生のお父様であり、大阪市旭区に本院がある「守上クリニック」の院長は、「半径300m以内の患者は何でも診る」というスタイルだと伺っています。やはり、そのお父様が守上先生に与えた影響は大きいですか。


守上先生:大きいですね。私が思い描くお医者さんの姿って、いわゆる「町医者」なんですよね。病院に勤務する医師というよりは、赤ひげ先生的なスタイルで、近所のおっちゃんおばちゃんから「先生!」って声をかけてもらえるようなね。だから自分も将来的にはそういう道に進むだろうなと思いながら、今に至る道を選んできた感じはあります。専門分野を突き詰めて細いところまで勉強するのも、それはそれですごく楽しいんですけど、自分はやはり、町医者でありたいなと思います。

ーーこの道に進んで間違いなかったなと思う瞬間はありますか。

守上先生:それはたくさんありますね。病院だと、患者さんが入院してから退院するまでを、医師が主導権を握って診療するんですけど、町医者的な総合診療や在宅医療となると、主導権は患者さんにあるというか。私たちがゲストであくまでサポートするという役割になるのですが、患者主導で何かを成し遂げたり、治療がうまくいったときの、ご本人の達成感や感動って、全然違うんですよね。患者さんから言われる「ありがとう」の重みも違う。そういう、患者さんの喜びに触れるたびに、間違ってなかったなって実感します。命に関わる重病を治すというものではないかもしれないけれど、「なんだか最近、体の調子が良くなってきた!」っておっしゃる患者さんの、日常の素顔に触れられる瞬間があるというのが、自身のやりがいにつながります。

ーー在宅医療では、守上先生が看取りまでされるケースも多いでしょうか。


守上先生:そうですね、「芦屋クリニックのぞみ」ではまだ少ないですが、大阪の「守上クリニック」では多いです。最期のお看取りをしたときに、涙を流して喜んでくれるご家族の方もいらっしゃるんですよね。「お父ちゃん死んじゃったけど、人生これで良かった!」って。そう言っていただけたときは、本当にこの道に進んで良かったなって思います。

健診や人間ドックについて

未病の段階から接点を持ち、患者さんの人生に長く関わっていきたい


ーー「芦屋クリニックのぞみ」は、総合内科診療に加え、MRIやCTも完備されていて、健診・ドックメニューが豊富ですね。


守上先生:一般健診はもちろん、脳ドックや血管ドック、肺ドックなど、各臓器ドックに対応が可能です。

ーー中でも特徴的なのが、DWIBS(ドゥイブス)と呼ばれる、MRIによる全身がん健診ですが、こちらは具体的にはどういった内容になりますか。

守上先生:従来の「PET-CT」の場合、検査に約3時間程度要するところ、DWIBSの場合は30分程度と、短時間で実施できるのが特徴で、また被曝を伴う検査薬の必要がない検査でもあります。患者さんの精神的にも肉体的にも負担が少なく、ほぼ全身のがんリスクを一度に調べることが可能です。またそれだけではなく、一般のCT検査も併用することで、より検査の精度を高める取り組みを行っています。

ーー人間ドックの受診者は、総合内科診療の患者さんよりも、比較的若い方が多いですよね。


守上先生:そうですね。未病の段階から患者さんと接点ができたら、もしそこで病気が発見されたとしても、当院で診療することもできますし、将来、訪問診療やお看取りまでとなれば、患者さんの人生に一番長く関わっていけるクリニックになれるのではないかという思いで、健診やドックメニューを工夫しています。

ーーリハビリテーションに関しては、外来と訪問の両方に対応されていますね。

守上先生:当院は整形外科ではないので、外傷後や骨折後のリハビリではなく、病気や怪我などで身体を動かせない状態が長く続くことで、全身の機能が低下してしまう「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」に対するリハビリが中心となります。膝の調子が悪いとか、長時間歩くと足やふくらはぎに痛みやしびれが生じる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」の症状を訴えられる方が多いですね。

ーーそういった症状は、単に加齢による体力的な問題だけではない場合もありますか。

守上先生:そうですね。ご高齢になるにつれて運動器の疾患だけではなく、内臓の疾患も重なってきますので、いろいろな症状が積み重なる上に、季節の変化にもついていけなくなり、どんどん体を動かしづらくなってきます。そうすると、足の筋肉が衰え、腰も曲がってというふうに悪循環になってしまいますが、リハビリを受けていただくことで、背筋もスッと伸びて、体調が改善される患者さんも多くいらっしゃいます。背筋が伸びるとそれだけで、若々しく見えますからね。患者さんのそういった姿を見られるのもうれしいですね。

スポーツドクターとしての活動

自分自身の内科医としての枠を広げる


ーー守上先生は、元ラグビー日本代表で、一時は日本ラグビーリーグ協会チームドクターとして、現在は兵庫県ラグビー協会の医務委員や、日本ラグビー協会のアンチドーピング委員会のメンバーとしても活動されていますよね。


守上先生:ラグビー協会の仕事としては、兵庫県下でラグビーの大会があれば、その現場で負傷した選手をサポートするということが多いですね。アンチドーピング委員会については、その名の通り、ドーピングしてはいけないよというのを普及させるために、大学生等にアンチドーピング指導や講習を行うという活動内容です。他には、「JR西日本レイラーズ」というラグビーチームのチームドクターとしても、試合に帯同しています。

ーースポーツドクター=整形外科医というイメージがありますが、内科医ならではのエピソードはありますか。

守上先生:「スポーツ選手=怪我」というだけではなくて、選手の中には喘息や不整脈などの内科的疾患を抱えている人も多いんです。そこで、例えば喘息の薬にしても、成分的に服用して大丈夫かどうか、ドーピング検査に引っかかる心配はないかなどの、相談を受けることもあります。総合診療として、自分自身の内科医としての枠を広げるという意味でも、これらは意義のある活動だと思っています。

南芦屋浜エリアの患者さんへ

「カフェに行って友達としゃべろう」というぐらい気軽な気持ちで、相談してもらいたい


ーー改めて「芦屋クリニックのぞみ」を、地域の方にどのように利用してもらいたいですか。


守上先生:それはもう本当に、気軽に来てもらいたいっていう思いですね。病院に行かないといけないって気を張るのではなく、例えば、仲のいい同級生にお医者さんがいたとして、ちょっと体調を崩したときに、「こんな症状があるけどどう思う?」ってLINEをするような、それぐらい気軽な感じで、このクリニックを使ってもらいたいです。

ーーとはいえ、一見、クリニックには見えないラグジュアリーな外観や内装ということもあり、「こんなことで行ってもいいのかな?」って思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

守上先生:そう思われている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、こちらとしては、「カフェに行って友達としゃべろう」みたいな感じで、病気を治すより前に、「体に不調があるけど、何科を受診したらいいかわからない」「医師に相談するべきことかどうか悩む」という段階でも、まずは相談しに来ていただける場所にしていきたいですね。

芦屋クリニックのぞみ

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プロフィール

守上 祐樹(もりかみゆうき)

経歴

2009年 兵庫医科大学 卒業
2009年 琉球大学医学部附属病院Ryu-MIC研修医、波照間診療所、与那国診療所、宮古病院救急部などで研修
2011年 兵庫医科大学病院 腎透析内科
2012年 甲南病院 血液浄化・腎センター
2014年 兵庫医科大学 血液浄化センター
2018年 医療法人双樹会守上クリニック 在宅診療部
2022年4月〜
2025年3月
びわこ成蹊スポーツ大学 臨時講師

所属・資格等

日本内科学会認定内科医
日本透析医学会専門医
日本プライマリケア連合学会認定医・指導医
日本医師会認定産業医
日本ラグビーリーグ協会チームドクター
日本スポーツ協会認定スポーツドクター

私のハマりもの

高校からラグビーを始めたのですが、それ以来ずっとハマっていて、今もプレーしています。ラグビーって、チームメイトはもちろんのこと、対戦相手もみんな友達っていう雰囲気があって、試合が終わったらみんなで「イエーイ!」ってなれるところがすごく好きです。サッカーや野球に比べると競技人口も少ないですから、お互いに相手のことを大事にしないと試合ができないんですよね。試合中は体がぶつかり合ったりする激しいスポーツですが、実は相手を思いやるマインドで取り組むスポーツなんです。また、ラグビーは年齢によってパンツの色が分けられているのですが、80代や90代になっても元気にプレーされている先輩方をみると尊敬しますし、自分もそんなふうになりたいなと思います。


クリニック情報



名称医療法人双樹会 芦屋クリニックのぞみ
診療科目総合内科・一般健診・リハビリテーション
所在地 〒659-0034 兵庫県芦屋市陽光町3-84
電話番号0120-150-417
診療時間 <総合内科診療・一般健診>
9:00~12:00
13:00~16:00
土曜 10:00~13:00

<プライベート健診>
日曜・祝日 9:00~17:00(予約制)
休診日火曜午後・木曜・金曜午後・土曜午後・日曜・祝日
URL・オフィシャルサイト
https://ashiya-clinicnozomi.com/
・インスタグラム
https://www.instagram.com/ashiya_nozomi/


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