
【兵庫県芦屋市】内科・糖尿病内科・内分泌内科
芦屋まつおクリニック
阪急神戸線「芦屋川駅」から北に徒歩1分以内、医療ビルの2階で、内科・糖尿病内科・内分泌内科を標榜する、芦屋まつおクリニック。2024年2月に、院長の松尾俊宏先生が開業し、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、バセドウ病、橋本病をはじめとする甲状腺疾患を中心に、地域医療の窓口的存在として内科診療にあたっているが、とりわけ糖尿病と肥満症への対応において、高い専門性を発揮しているクリニックだ。
医療カルチャー発信メディア「エムアンド」では今回、穏やかな表情と優しい口調が印象的な、院長の松尾先生を取材。「患者の一生を診る」という覚悟の言葉を、迷いなく放つ意思の強さを持ち、患者の人生に向き合い続ける真摯な姿勢と、強い責任感が伺えるから、頼もしい。
そんな松尾先生が専門として診ている糖尿病は、食生活の変化や運動不足が原因となり、20代の発症例も増えてきている。各メディアでも報じられている「糖尿病の若年化」にも警鐘を鳴らす松尾先生が発信する、若者の未来を想う言葉が、1人でも多くの人に届きますように。
一生診ていく、付き合っていくというのが治療の目標
ーーいずれはご自身のクリニックを開業したいという思いは、以前から持たれていたのですか。

松尾先生:父が歯科で開業していて、祖父も内科で開業していたので、日々開業医というものを身近に感じていました。だからと自分も開業したいという気持ちは最初はありませんでした。ただ、私がメインで診ている生活習慣病は、例えば糖尿病の場合、付き合いが長くなる病気ですが、勤務医だと他の病院への異動もありますから、患者さんの人生のうちの、短期間しか診ることができないんですよね。そこに限界を感じる部分がありました。5年10年、患者さんと付き合っていくと、その方の人生が終わるときがきます。私たちの治療がうまくいったかどうかは、その方の人生が終わるときにしかわからないというか、糖尿病だと合併症を起こすことなく人生を満足して生きられたかどうか、そこがゴールだと思うので、そのゴールまで寄り添っていきたいという思いから、クリニック開業に至りました。
ーーご研鑽を積まれる中で、1人の患者さんの病気を長く診ていくことへの責任感が強くなっていったというわけですね。
松尾先生:そうですね、糖尿病の場合は血糖値やHbA1cの数字が良くなったとしてしても、ずっと付き合っていかないといけないですし、最終的には合併症を起こさない、未来に病気を起こさないというところが目標なので、一生診ていく、付き合っていくというのが治療の目標になっています。それに、糖尿病は患者さんによって治療の選択肢が十人十色ですが、患者さん1人1人、いろんな人生がある中で、その人のためにできることは何なのかを考えることが、 まず我々がやらないといけないことだと思っていますし、すごくやりがいのある仕事だと感じています。
ーー血糖コントロールや服薬管理、食事内容、運動内容・・・注視しないといけないところが多い病気ですものね。
松尾先生:はい、そしてそれを患者さん1人で把握するのは難しいですからね。認知機能が落ちてくる患者さんもいらっしゃる中で、ご家族にも病気のことを知ってもらって、生活の質を落とさないようにサポートしていただくことも必要です。
自分の未来を守るために行動を促していくということも、内科医のやるべきこと
ーー糖尿病といえば、中年以降の病気というイメージがあります。

松尾先生:それが今は、若年層にも広がっていて、肥満症の若者が一定数増えてきています。20代で肥満で糖尿病という方もいます。若くしてこの病気に罹ると、病気と付き合う期間がそれだけ長くなってしまいますから、若者の意識を病気に向けさせ、自分の未来を守るために行動を促していくということも、内科医のやるべきことなのかなと思います。
ーー糖尿病はサイレントキラーと言われ、初期に自覚症状がほとんどない病気だけに、若い人は特に、「よし、病院に行こう!」とはなりにくいですよね・・・。
松尾先生:そうですね、しかし、そういった部分を啓蒙していくことも大切だと考えます。私たちが若者に響くような活動をしないといけない。私たちが見ているのは、10年、20年、30年後の患者さんの未来で、そこを見据えて治療をしているので、未来に起こりうる合併症のリスクを下げるためにも治療が必要だということも知ってもらわないと、通院も続かないですよね。
ーー松尾先生が、SNSでの情報発信に注力されているのには、そういった背景もあるのですね。
松尾先生:例えば健診に引っかかって、糖尿病の疑いがあるから病院に行きましょうと言われても、症状もないのに行かないですよね。でもそこで、なぜ病院に行かないといけないのかという情報をもっと発信していけたらと思っています。その情報をキャッチしてくれた人が、早期に治療をすることで、先々の合併症を予防できるかもしれない。栄養士さんにも協力してもらい、患者さんの未来のためになる情報を発信して、少しでも皆さんの生活のプラスになればと思います。
私たちがやらないといけないのは、リスクを評価して、そのリスクを1つ1つ潰していくこと
ーー糖尿病の合併症についても伺いたいのですが、どこか1ヶ所にだけ出るというものではないところが厄介ですね。

松尾先生:全てのことが糖尿病に影響しますし、糖尿病も全てのことに影響しますから、患者さんの全身を診ることが、糖尿病の診療だと考えます。例えば、睡眠時無呼吸症候群が隠れていると、糖尿病も悪化しますし、血圧も高くなって、脂質も異常をきたすというふうに関連していきますからね。
ーー中でも三大合併症は、特に注意が必要ですね。
松尾先生:一般的には、糖尿病歴が長いと、かなりの確率で神経障害が起こります。網膜症が出るか出ないかは患者さんにもよりますが、最低1年に1回の眼底検査を受けて、出血していないかのチェックは必要ですね。腎症に関して言えば、糖尿病だけが原因で腎臓が悪くなっているわけではありません。 高血圧、脂質異常、肥満というふうに、マルチなファクターが腎臓に影響を及ぼして、最終的に合併症が進みます。だから、私たちがやらないといけないのは、リスクを評価して、そのリスクを1つ1つ潰していくことです。
ーーそのための検査体制も整っていますよね。

松尾先生:血液検査は20分程度で、正確な数字をもとに結果をご説明しています。合併症の評価では、神経の働きを見て、神経障害が起きていないかどうかを検査することができます。他には、糖尿病は動脈硬化を起こす病気なので、エコーで首の血管が動脈硬化を起こしていないかを評価することもできますし、血管年齢を見る検査も可能です。
ーー看護師さんのケア体制はいかがでしょうか。
松尾先生:看護師によるフットケアに力を入れていて、足の感覚が鈍くなっていないかのチェックも実施しています。足の感覚が衰えてくると、怪我に気付きにくくなり、傷に気が付かず放置するとそこからバイ菌が入り、最悪の場合、壊死して足を切断しなくてはならなくなります。ご高齢になってくると、腰も悪くなり、ご自分で足の爪を切れないという方も増えてきます。そこでご自身で無理に爪切りをして深爪になったり、うまく切れなかったことで怪我につながるということもありますから、当クリニックではそういった足のケアにも、十分に力を入れているところです。
ーー糖尿病は1型、2型など、種類も分かれていますね。
松尾先生:患者さんの95%が、インスリン分泌量の低下が招く2型糖尿病で、 残りの数%がインスリンを作れなくなる1型と、その他の糖尿病ですね。妊娠中に初めて糖代謝異常が見つかった場合の「妊娠糖尿病」や、膵臓を切除することによってインスリン分泌能が低下して発症する「膵性糖尿病」です。こういった様々な糖尿病にも対応が可能です。
バセドウ病や橋本病など、甲状腺疾患に対するフォローも行なっています
ーー松尾先生は、糖尿病をはじめとする生活習慣病以外に、甲状腺の病気も診られていますね。

松尾先生:内分泌には内分泌疾患と代謝疾患があります。代謝疾患の中に糖尿病、脂質異常症、高血圧症があり、内分泌疾患はホルモン異常が原因でおきる病気で、多く見られるのが甲状腺疾患であり、その他に下垂体や副腎疾患などさまざまな病気があります。甲状腺疾患では、やはりバセドウ病や橋本病の診療が中心となりますが、他にも、甲状腺の腫瘤などもあり、それが何年後かに悪性化することもありますから、そういった疾患に対するフォローも当クリニックでは行っています。
ーー甲状腺疾患は、具体的にはどういった治療を行なっていくのでしょうか。
松尾先生:バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸や息切れなど、全身に様々な症状が現れる病気ですので、甲状腺ホルモンを抑えるための投薬治療を行います。逆に橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起きる自己免疫疾患で、甲状腺ホルモンの分泌低下を招きますから、甲状腺ホルモンを補充する治療が中心となります。
ーー甲状腺の病気も、発症すると長く付き合っていかないといけない病気なのでしょうか。

松尾先生:バセドウ病に関しては、例えば飲み薬を2年飲んで、そこで治療を終了できることもありますし、永続的にお薬の服用が必要な方もいます。橋本病は、薬を飲まなくて済む場合もありますが、一生付き合っていかないといけない場合もありますね。
ーーどういったタイミングで発症しやすい病気ですか。
松尾先生:特に女性の方に多く、高齢者よりは若年層の方が罹りやすい傾向にあります。自己免疫異常で発症してしまう病気です。
ーー例えば、糖尿病と甲状腺疾患を同時に併発するケースもありますか。
松尾先生:それもあります。糖尿病は生活習慣病なので、誰しもに発症するリスクはありますし、甲状腺疾患も、いろんな因子が重なって、体の防御システムが誤作動を起こすことで発症します。
病気の治療は、医療者側の押し付けや一方通行では成り立たない
ーー生活習慣病の話に戻りますが、松尾先生は肥満症も専門的に治療されているそうですね。

松尾先生:はい、大学病院に勤務していた頃、肥満外科チームの立ち上げにも関わっていました。「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」という術式があって、生活指導や薬物治療ではうまくいかない方の選択肢として、外科的に胃を切って胃袋を小さくする治療法があり、保険適用にもなっています。アメリカをはじめ、全世界的に肥満症が問題になっていますからね。胃を小さくすることで食べる量が確実に減り、減量することで、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の改善につながり、病気が良くなって健康に長生きできる人が増えれば、医療費の削減になりますから、日本も力を入れている分野です。
ーーまさに未来の生活を改善するためにということですね。
松尾先生:そうですね。あとはやっぱり、例えばBMIが35の人って、体重が100kgぐらいあったりしますが、自力で痩せるにも限界がありますしね。基礎代謝が落ちているし、食べる量を制限できるかというとそれも難しいですからね。当クリニックでは、生活指導や薬物治療を中心に行いますが、こういった手術が適しているという患者さんには、連携している大学病院をご紹介させていただきます。
ーーありがとうございます。最後に、エムアンドをご覧の読者にメッセージをお願いします。
松尾先生:まず患者さんの話をしっかり聞いて、その患者さんに適したアドバイスをしていくというのが、私の診療スタンスですので、健診に引っかかってしまったという方でも、気軽にお越しいただければ、詳しく病気の説明をしたり、その方に今後どういう病気が起こりうるかをお話させていただきます。病気の治療は、医療者側の押し付けや一方通行では成り立たないので、患者さん1人1人が納得して受けていただける治療を提案していきたいですね。何か1つの病気が改善したとしても、他に気になる症状があれば、相談していただきたいですし、ご相談内容から他の病気がないかも考えながら、早期に病気を発見できるように努力していきたいと思います。
プロフィール
松尾俊宏(まつおとしひろ)経歴
2000年3月 | 岡山白陵高等学校 卒業 |
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2006年3月 | 兵庫医科大学 卒業 |
2006年4月 | 市立芦屋病院 臨床研修医 |
2008年4月 | 兵庫医科大学病院 糖尿病科入局 |
2009年4月 | 宝塚市立病院 内科 |
2010年4月 | 市立芦屋病院 内科 |
2011年4月 | 兵庫医科大学 器官・代謝制御系 糖尿病学 入学 |
2015年4月 | 兵庫医科大学病院 内科学 糖尿病・内分泌・代謝科 病院助手 |
2015年11月 | 兵庫医科大学 器官・代謝制御系 糖尿病学 修了 |
2019年4月 | 兵庫医科大学 内科学 糖尿病・内分泌・代謝科 助教 |
2020年4月 | 兵庫医科大学 内科学 糖尿病・内分泌・代謝科 講師 |
2021年4月 | 市立芦屋病院 糖尿病内分泌内科 主任医長 |
2024年2月 | 芦屋まつおクリニック 開院 |
資格・所属学会
日本内科学会 総合内科専門医日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本甲状腺学会会員
日本緩和医療学会会員
兵庫医科大学医学博士
私のハマりもの

クリニック情報

名称 | 芦屋まつおクリニック |
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診療科目 | 内科・糖尿病内科・内分泌内科 |
所在地 | 〒659-0083 兵庫県芦屋市西山町11-18 CH.158 201号 |
電話番号 | 0797-32-5070 |
診療時間 | 8:45~12:00 16:00~19:00 水曜午後:17:00~19:00 土曜:8:45~14:00 |
休診日 | 木曜・日曜・祝日 |
URL | ・オフィシャルサイト https://a-matsuo.jp/ ・インスタグラム https://www.instagram.com/ashiya_matsuo_clinic/ |




